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昨シーズンに植えたプリムラ・ジュリアンが、今年も咲いた。



一緒の鉢に植えていた植物たちは枯れてしまったから、今年はひとりで伸び伸びと咲いている。



 



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ジュリアンはダレカと、ここにいた。



小さく囲われた安全な場所で、朝も昼も夜も隣りにいて、飽きることなく話していた。おはようからおやすみまで、話したいことは尽きることがなかった。



ジュリアンは咲いていた。ダレカも咲いていた。



そうして誰にも見えない深いところで、互いの近くへ根を伸ばしていた。



やがて季節が変わり始めた。ダレカの口数は減り、ある日とうとうジュリアンの話を遮った。

「ちょっと、黙ってくれないかな」と。



思いがけない言葉にジュリアンは驚いて黙った。「ちょっと」のつもりが「しばらく」になり「ずっと」黙ったままになってしまった。





気がつくと、隣りでダレカは花を落としていた。ひとつ、またひとつ。ジュリアンも花を落としていった。みっつ、そしてよっつ……。それでも、根のところではダレカを感じていた。他の誰でもない、それはダレ

カの根と信じながら、暗闇に深く眠り込んだ。



夢で、遠くから呼ぶ季節の声を聞いた。声は近づき、ジュリアンはもう一度目覚めた。



目覚めた喜びの中、南に向いて、ひとつ咲いた。そこにダレカは見えなかった。それならと、東を向いてひとつ咲いた。やっぱり誰も見えなかった。今度こそ、今度こそと、いくつも花を咲かせて見回したけれど、ダレカは

いない。誰もいない。




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ジュリアンのハートブレイク
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